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放蕩記

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あらや滔々庵・旅行記

あらや滔々庵

やら滔々庵は石川県加賀市の山代温泉にある旅館である。山代温泉は1,300年前に奈良時代の僧行基が烏(カラス)が足湯をしていることで発見したとされている。あらや自体の歴史としては、江戸時代に前田藩が藩主入湯の宿として初代荒屋源右衛門を湯番頭としてから現在で18代目となるそうだ。現館主となってからハードとソフトを刷新し、滔々庵と名付けた。あらやの湯量は山代一の1日10万リットルで、まさに滔々と湧き出る源泉と言えよう。

 チェックイン14時、チェックアウト11時。全18室でそのうち源泉掛け流しの露天風呂付きの部屋が9室。離れの部屋はなく5階建てのビルで、内装によって各部屋の造りが異なっている。大浴場もあるので、部屋風呂がなくても困ることはないだろう。冬のずわい蟹など石川県は美食の宝庫だ。食事は部屋食の部屋と、2階の食事処の個室での部屋がある。料金は露天風呂付きかどうかと食事の内容によって異なるが一泊二食付きで一人5万円前後とかなりの高級旅館である。

 また本館4階から渡り廊下で行き来出来る別館として「有栖川山荘」がある。明治初期に天皇来館の折、皇族の有栖川家があらや逗留時に使用していた山荘を改築したもので百年以上の歴史がある木造建築である。現在はバーラウンジとして使用されていて好評だ。

 特記すべきこととして、この宿は大正時代に北大路魯山人が逗留していたことで知られ、数多くの魯山人作品が展示されている。また上野憲男らの現代アート作品も数多く展示されており、さながら小さな美術館の態をなしている。アクセスは車なら北陸自動車道加賀インターから15分ほどで快適。駐車場は150mほど離れた場所にあるが宿にキーを渡せば不便はない。

 宿の目の前には明治時代の共同浴場を再現した「古総湯」があり山代温泉のアイコンになっている。ここの風呂はその造りだけでなく入浴方法までが明治を再現されていて、石鹸シャンプーなど使用不可、シャワーもなく、着替えと浴室が同じ部屋となっている。男女は分かれている。入浴料は500円で、あらやでは400円の割引券を発売している。旅館の温泉で普通に入浴した後に観光として利用するのが楽しい。内部は撮影禁止なのであらやの玄関から見た外観を。

昼の古総湯
古総湯

夜の古総湯
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こちらは普通に入浴できる共同浴場の「総湯」で古総湯の前にある
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 また徒歩圏内には魯山人の寓居跡が「いろは草庵」という名で一般公開されている。入館料500円、水曜日休館。家の内部が保全されており、展示室には作品が展示され、庭を眺めながら須田菁華(魯山人の陶芸の師)の茶器でお茶と、ここでしか頂くことの出来ない特注のお菓子がふるまわれる。

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 さて、宿泊したのは2016年12月末。3ヶ月ほど前に電話で予約を入れた。9室ある源泉露天風呂部屋の部屋の料金に差はなく、部屋指定ができず、街側ではなく山側でというリクエストは入れてあったため、当日「兼六」という部屋であることが確定した。「禁煙」という縛りはないようだが、禁煙のリクエストも入れた。この時代、タバコが苦手な人に喫煙ルームは無理なので、これからの旅館は禁煙をルール化して明記すべきであろう。この部屋は全くタバコの臭いがなく問題なかった。食事は「ずわい蟹コース」。これは上から2番目のカテゴリーで、この上にはさらに大きい蟹を使用した「特選ずわい蟹コース」があるが、その違いは量であるとの説明で今回のコースを予約した。一泊二食で一人67,000円(税抜)である。

 あらやの玄関を入るとまず目に飛び込んでくるのが魯山人作「烏」の衝立だ。見れば見るほど味があり魯山人がただ者ではないことがよく分かる。この烏の絵はあらやのトレードマークにもなっている。

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こちらはフロントに掛けられた「あらや」木製の刻字看板。魯山人は山代温泉に逗留中に何軒もの旅館の看板を制作した。
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書や器なども展示されている。
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 兼六の部屋は3階の角部屋。扉を開けると畳貼りの長い廊下があり、その先に12畳の主室、8畳の寝室、半露天風呂がある。主室と寝室にテレビがある。寝室は低めのベッド。露天風呂スペースにはデザインチェアが置かれている。源泉掛け流しの湯。浴槽は木製で160cmぐらいの長さ。シャワースペースがある。洗面はシングルシンク。トイレはウォシュレット。窓からは裏の木々が見える。外からの視線は無い。部屋でチェックインの記帳をし、ウェルカム抹茶と和菓子を頂く。

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 大浴場は1階に3つあり、時間で男女が入れ替わる。3つとも入ってみたが小さい宿のためほとんど独占状態であった。2つは露天風呂付き、1つは暗いメディテーションバスである。湯加減は丁度良く、無臭で透明な湯である。泉質も高く評価されているようだ。風呂上がりには無料で飲めるCAVAや発砲酒が用意されている。

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大浴場の一つ「瑠璃光」
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無料のドリンクサービス
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「静けさを楽しむ」ここにも魯山人の書が掛けられている
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 兼六の客は夕食朝食ともに2階の食事処の個室での食事となる。部屋食も良いのだろうが食事処の個室も悪くない。約2時間半の蟹づくしディナー。

ここにも上野憲男の絵が掛けられている。
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1)先付:香箱蟹
 香箱蟹はずわい蟹の雌。内子と呼ばれる卵が美味。この地方の名産だ。今年はずわい蟹は雄雌ともに収穫量が少なく、特に香箱は資源保護のため収穫する時期が12月29日までと定められており、貴重なものである。なおかつ今年は28日が時化のため漁がなく27日までに水揚げされたものが最終となっており更に貴重品だったと言えよう。
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濡れ箸と、食前酒の濁り酒。
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お酒は地元の酒「農口」の大吟醸1合2,500円で
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2)椀:蟹真丈
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濡れ蓋で
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3)造り:ずわい蟹、能登ブリ
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4)焼き物:活ずわい蟹炭火焼
 加賀橋立港で水揚げされた蟹にはブルータグでそのように書かれている。近い漁港で採れた蟹ほど鮮度が良いのでこちらでは橋立が最高なものとなっている。テーブルサイドで担当女中さんが焼いてくれる。
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5)八寸:鮟肝、ナマコ、イクラ、イカ、穴子、鯛など
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6)温物:茹でずわい蟹
 同じく加賀橋立港で水揚げされたずわい蟹を次は茹でで頂く。鮮度の良さが分かるすっきりした味わいである。
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7)焚き合わせ:蕪
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8)御食事:蟹炊き込み、赤味噌
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9)水菓子:梨、苺、柿、抹茶アイス
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 その後、渡り廊下を行き有栖川山荘へ。百年以上の歴史を持つ建物で、往事を偲ばせる。暗く落ち着いたバーで貴腐ワイン(ヴァッヘンハイマー・リースリング・アウスレーゼ1988、1,600円)を頂いた。色は飴色だがドイツワインは30年も経つと甘味が飛んでしまって、まるで紹興酒のようになっている。フランス・ソーテルヌのシャトー・イケムのようにはいかない。

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ここにも上野憲男の絵が
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こちらは朝食
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Category - あらや滔々庵・山代温泉

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