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放蕩記

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十和田市現代美術館 / ワクワクさせる常設展示

Category - 青森
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(写真はクリックで拡大)

2018年5月、GWも終わった週に青森県を訪れた。旅の目的の一つは十和田市現代美術館。金沢21世紀美術館、豊島美術館、千住博美術館などですっかりファンとなった西沢立衞の建築と聞けば行かずにはおられないい。常設展示の一つにロン・ミュエクの作品があることは知っていたので、同行する妻に一度ロン・ミュエクを見せてあげたいという気持ちもあった。

十和田市現代美術館のある通りは、桜と赤松が並ぶまっすぐな道で「日本の道100選」にも選ばれている。十和田市は古くより馬の生産が盛んであったことから、馬のブロンズ像が立ち並んでいる。そのため、十和田市現代美術館の正面には花で覆い尽くされた堂々たる馬のモニュメントが立っている。

美術館前の通りには馬のブロンズ像が数多く見られる。
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チェ・ジョンファ「フラワー・ホース」。一際目を引く十和田市現代美術館のアイコンである。
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ミュージアムショップの外壁には奈良美智とポール・モリソンによる絵が描かれている。
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真っ赤な巨大なアリのモニュメントも目を引く。椿昇「アッタ」。
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十和田市現代美術館は大小の箱が連結したような構造となっていて、それぞれの箱の中に常設展示作品が一つずつ収められている。また別の箱では期間限定の企画展も行われる。今回の企画展はインターネット・アートの代表的存在「ラファエル・ローゼンタール」の世界初となる個展であったが、これは私には面白くなかったのだが、常設展の方はとても興味深いものであった。

自販機で常設+企画展の入場券¥1,000を購入する。エントランスホールの床の絵はジム・ランビー「ゾボップ」。
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まずいきなりのロン・ミュエク「スタンディング・ウーマン」。4mの巨大な老女の像。肌、皺、血管に到るまで人間の体の微細な部分まで克明に再現しながら、巨大にすることで異様な存在感を出している。期待通り妻にも大変好評だった。
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キム・チャンギョム「メモリー・イン・ザ・ミラー」。暗室に入ると壁に映し出された鏡の中に多くの人が現れては消える。その前後ではその人物の通り過ぎる影がリアルに映り、まるでそこに誰かがいるような不気味な雰囲気になる。その状況が理解できた後も、しばらく見入ってしまう。存在の不確かさといったところがテーマであろう。
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ハンス・オプ・デ・ビーク「ロケーション(5)」。これも暗室に入る。暗闇に目が慣れるまでは手探りで進む。慣れてくるとそこが真夜中のレストランであることが理解できる。ボックス席に座る。その横には大きな窓ガラスがあり、その向こうに街灯に照らされてどこまでも続くハイウェイが見える。座席を移動すると道を見下ろす景色もシームレスに変わる。実にリアル。人のいない真夜中のレストラン、車のない真夜中の道。世にも奇妙な世界に持っていかれる。実に不思議な気分だ。最高にクール。
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天井に丸い穴が空いた白い部屋。何かの動物が天井に突き刺さっている。椅子に登って穴に頭を突っ込むと…… そこには全く違う癒しの世界が広がっていた。栗林隆「ザンプラント」。
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その他、館内のあちらこちらに点在するユーモアのある小作品群。山極満博「あっちとこっちとそっち」
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トマス・サラセーノ「オン・クラウズ」
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オノ・ヨーコ「念願の木、三途の川、平和の鐘」
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森北伸「フライングマン・アンド・ハンター」
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アナ・ラウラ・アラエズ「光の橋」
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スゥ・ドーホー「コーズ・アンド・エフェクト」。数万体のプラスティック人形を千羽鶴のように組み合わせでできている。
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マリール・ノイデッカー「闇というもの」
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その他、印象に残ったのは、撮影禁止作品のため写真はないが、ボッレ・セートレ「無題/デット・スノー・ワールド・システム」。これは白い自動ドアの中にある、白い宇宙船のような室内に、白いヤギが横たわっていて、ミラーボールが周り、幾何学模様のコンピューターグラフィックがモニターに映り、金属的前衛的な環境音が鳴っているというもの。「2001年宇宙の旅」や「ソラリス」などのSF映画を連想するが、思わず見張りの美術館スタッフに「この音と光の中にずっと居ると変な気分になりませんか?」と聞いてみた。意外と大丈夫そうだったが、しばらくすると他のスタッフに変わっていたので、時間で交代しているのだなと安心した。

館内にはカフェもあり簡単な食事ができる。床にはマイケル・リン「無題」の華やかな絵。
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外にもユニークなストリートファニチャーがある。草間彌生「愛はとこしえ十和田でうたう」
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インゲス・イデー「ゴースト」
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エルヴィン・ヴルム「ファット・ハウス、ファット・カー」
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これは西沢立衞による公衆トイレだが、男子用トイレの窓からはインゲス・イデーの「アンノウン・マス」が覗いている。
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今回訪れたのはGW明けの週のため美術館の観覧者は少なく、人口7万人の十和田市は車の往来も少なかった。貸切状態のように観覧者の少ない美術館というのはとにかく最高である。十和田市へのアクセスはやや不便であるが、青森県に行くことがあれば是非おすすめしたいスポットである。

十和田市現代美術館 月曜日定休 公式サイト

Category - 青森

2 Comments

とも  

美術館

空いてるシーズンがいいですね~^^

GWに、金沢21世紀美術館に行ったら、案の定、激混みでした。(平日なのに)

プールだけ見て、退散しました。。

十和田市現代美術館・・行ってみたいけれど、ちょっとアクセスが考えてしまいます。

(レンタカーですか?)

2018/05/13 (Sun) 18:33 | EDIT | REPLY |   

Dr.Takabo  

Re: 美術館

ともさん、コメントありがとうございました。
美術館は本当に空いている時が一番ですね。
静謐な空間で、芸術と自分の一対一の対峙が叶うのですから。
21世紀美術館は例外的な美術館で、いつでも混んでいる印象があります(2回しか行ってないのですが)。
レアンドロのプールだけとは勿体なかったですね。
十和田市は確かにアクセスに苦労します。
私は名古屋から空路でたった1時間ちょっとで青森市についてから、
そこから「贅沢に」タクシーで(素晴らしい景観の)八甲田の山越えをしながら十和田に行きました。
タクシーは思わぬ上客で上機嫌でしたが、とても感じの良い方で、こういった出会いも旅の醍醐味かと思いました。

2018/05/13 (Sun) 22:32 | REPLY |   

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